こたつ
「これいいでありますなあ……」
「ふむ? 『月間忍者通信』……? 全然忍んどらんのう」
「なに? こたつ……なんじゃこりゃ」
「古来よりアマツに伝わる暖房器具らしいでありますよ。なんでも、これにかかればどこからともなく猫を呼び寄せ睡眠につかせ、みかんの味が倍美味くなるとか」
「ほほう、面白そうじゃのー」
「じーさんもこういうの好きそうだな……なになに? 要するに低テーブルに暖かいものくっつけて布団被せりゃいいのか……確か物置にあったな、足が一本取れたテーブル」
「へ?」
「作ってやるよ、そら、テーブル取ってきな」
「い、いいのでありますか!?」
「別にこれくらいはな」
「さすがソフィアばーさんの孫じゃ、いい子じゃのう」
「……止めてくれ、そういう言い方……」
「ただいまー、って、うお、何これ」
「こたつでありますよ! ノイン殿が拙者のためにわざわざ作ってくれたのであります!」
「いや言わんでいいから」
「へー、さっすが器用だなあ。俺も入って良い?」
「なかなか老体にはちょうどいい家具じゃよ」
「じーさん暑い方が好きだもんなあ、どれどれ……おおっ、冷えた体に染み渡るな!」
「なかなかだろ」
「いいねいいねー、今度みかん買ってこよう」
「あれ、こたつ知ってるのか?」
「こないだアマツ出身の人が力説してた」
「ただいま戻りました……あれ、どうしたんですかみなさん」
「おおお帰りー、こたつだってよ」
「こんなとこで寝たら風邪引くんじゃないかと思うんだが」
「まあ、子どもは風の子っちゅーしのー、大丈夫じゃろ」
「字が違うよじーさん」
「なるほど……暖房器具なんですか」(『月間忍者通信』を見ながら)
「……あ、お前も入るか?」
「え? いえ、鎧も着けたままですし……」
「いいから入れって、ほら」
「はあ、失礼します……ちょっと狭くないですか? 大丈夫ですか?」
「俺は平気ー、気にするなって」
「ありがとうです」
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