こたつ


「これいいでありますなあ……」
「ふむ? 『月間忍者通信』……? 全然忍んどらんのう」
「なに? こたつ……なんじゃこりゃ」
「古来よりアマツに伝わる暖房器具らしいでありますよ。なんでも、これにかかればどこからともなく猫を呼び寄せ睡眠につかせ、みかんの味が倍美味くなるとか」
「ほほう、面白そうじゃのー」
「じーさんもこういうの好きそうだな……なになに? 要するに低テーブルに暖かいものくっつけて布団被せりゃいいのか……確か物置にあったな、足が一本取れたテーブル」
「へ?」
「作ってやるよ、そら、テーブル取ってきな」
「い、いいのでありますか!?」
「別にこれくらいはな」
「さすがソフィアばーさんの孫じゃ、いい子じゃのう」
「……止めてくれ、そういう言い方……」

「ただいまー、って、うお、何これ」
「こたつでありますよ! ノイン殿が拙者のためにわざわざ作ってくれたのであります!」
「いや言わんでいいから」
「へー、さっすが器用だなあ。俺も入って良い?」
「なかなか老体にはちょうどいい家具じゃよ」
「じーさん暑い方が好きだもんなあ、どれどれ……おおっ、冷えた体に染み渡るな!」
「なかなかだろ」
「いいねいいねー、今度みかん買ってこよう」
「あれ、こたつ知ってるのか?」
「こないだアマツ出身の人が力説してた」

「ただいま戻りました……あれ、どうしたんですかみなさん」
「おおお帰りー、こたつだってよ」
「こんなとこで寝たら風邪引くんじゃないかと思うんだが」
「まあ、子どもは風の子っちゅーしのー、大丈夫じゃろ」
「字が違うよじーさん」
「なるほど……暖房器具なんですか」(『月間忍者通信』を見ながら)
「……あ、お前も入るか?」
「え? いえ、鎧も着けたままですし……」
「いいから入れって、ほら」
「はあ、失礼します……ちょっと狭くないですか? 大丈夫ですか?」
「俺は平気ー、気にするなって」
「ありがとうです」








神棚(こたつ一年後)


それは、年の瀬が迫ってくるかなり前の話。
冬どころか、秋がちょっと深まってきたあたりで引っ張り出されたお手製の「こたつ」は、今年バージョンアップしていた。ソウルリンカーが何故か持っていた伝手を利用して、四畳ほど畳を譲り受けたのである。よって、現在リビングのソファとテーブルと大量の椅子は端に寄せられ、板張りの間のど真ん中に畳が敷かれ、その上にこたつが鎮座している。
このミスマッチはどうなんだろうとローグは考えていたが、そのこたつに足を突っ込んだ状態でごろごろしている者に言える台詞であろうはずもなかった。
このアマツ伝来のこたつ、これには魔力がこめられていると古より伝えられている。何故か人が引き寄せられ抜けられなくなる様はまさしく難攻不落のアンクルに等しく、それが引きおこす睡魔に至ってはサンドマンを軽く凌駕する。板上にはかごに盛られた直輸入のみかん、四方でごろごろしている男が四人ほど。これで猫でも丸くなっていれば完璧なのだが、如何せんこの家はペット禁止である。
ローグの転がっている辺の右隣で丸くなっているバードはほぼ完全に眠りこけており、正面でちょこんと座っているソウルリンカーは満足そうに緑茶をすすっている。正直どこがイズルードの町中なんだと言いたくなる光景であったが、それを言ってはいけない。
そしてローグの左隣では、無類のアマツ好き、忍者がいつかも見たことがある「月刊忍者通信」を寝転がりながら読んでいた。
その表紙には、「徹底攻略!極寒の地での訓練法100」「君の部屋にアマツの香りを」「クウガ・カイ独占インタビューついに掲載〜野牛との勝負について語る」などの煽り文句が、実に渋い色合いで配置されている。普通、黄色だとか赤だとか目立つ色にするところだが、そこは忍者のための雑誌であるからして闇色の表紙に臙脂だの浅葱だのの文字が躍っている。
雑誌を発行している時点でどうなんだ、と思わないでもないが、ローグがそれを忍者に言ったことはない。この家に住まう者の中では最年少の、ちょっと間違った憧れを持った少年をがっかりさせるのは忍びなかったのだ。洒落ではない。
雑誌を読んでいた忍者がほう、とため息を吐いた。なんだなんだ、とローグが手元を覗き込むと、そのページはどうやら「君の部屋にもアマツの香りを」の特集らしかった。
「アマツでは、ほれここ、ここに小さな神様がおわすそうでありますよ」
忍者がページの中の木でできた棚を指さして嬉しそうに解説を加えてくるが、ローグは首を傾げた。
「……小さいオーディンがいるのか? あっいや待てよ、フレイヤ様なら」
「ちーがーう、でありますっ」
小さいフレイヤが小さな翼でぱたぱた飛ぶ図を想像したらしくローグが目を和ませる。だがそれはヴァルキリーだと、誰も脳内妄想に突っ込んでくれる人はいなかった。
忍者がしゃっきりと座り直す。
「アマツには八百万の神、という認識があり申してな、それすなわち万物に神、精霊が宿るというありがたい教えであります」
「つまるところ干支神さまもその類なんかのう」
ソウルリンカーの口出しに、忍者は嬉しそうに頷く。どう見てもおじいちゃんと孫、の光景にローグはまた目を細めた。
「ふーん……? つまり、無理に主神だーなんだって崇めなくてもいいってこと?」
「そうなんじゃないかの」
「拙者が見たところアマツに教会はありませなんだので」
「へー」
よくルーンミッドガッツとアルナベルツがやっきになって教会合戦をしないものだ、とローグは半ば呆れながら感心した。そもそも地方都市は不可侵条約でも結ばれているのかもしれない、今度ちょっと調べてみようと思いながら身を起こす。足下は温かいのだが、上半身を上げてしまうと背中が寒いのが難点だ。背もたれ的なものを置いてみたらどうだろう、とぼんやり思った。
「んで? それが欲しいのか?」
天板に広げられた雑誌を示すと、忍者はへにょりと眉を下げた。
「……欲しいというわけでも……ないのかもしれないのでありますが、台所などに設置することによって火の神様をお迎えし料理がうまくなったり火事を防げたりできるらしいんでありますよ」
「つまり欲しいんじゃなあ」
白いすじが盛大についたままのみかんを一房、ソウルリンカーが口に放り込む。知らぬ間に起き上がったバードがそれを見かねて、すじを取り始めてやっている。
忍者は顔を赤くした。
とにかくアマツ的なものが好きなのだ。自室を天井裏にして、掛け軸にくるまって眠るぐらいに。そもそもこのこたつも彼の願いに応じてバードが作ってやったものなのだし、今更である。
バードがみかんのすじを取り去りながら、無言でその雑誌寄こせ、と手招く。ローグの手がするりと雑誌を滑らせ、バードの前に寄こした。
つくり自体は単純なものである。白っぽい木を、天板がない棚の形に組み合わせて、社のミニチュア版のようなものをつくり、小瓶が二本とお供え物が載せられる程度の大きさにし、壁に据え付ける。
「んー……流石に中古だと駄目っぽいか」
「かみさまの住処なんじゃろ? 古い方が案外好きやもしれんぞ」
「それもどうだろなあ、この木なに? 緑ハーブでいいの?」
「緑ハーブてお前」
目の前でほいほい進んでいく状況に、忍者は目をぱちぱちさせている。しばらくたらした前髪の一房を弄ったり、ちらちらその様子を眺めたりしていたが、ついに我慢できなくなったのか切り出した。
「……ほ、本当に?」
「ん? つくってやるよ、こんぐらい」
「材料買ってくるけど、他に欲しいもんある?」
バードが軽く請け負って、ローグが名残惜しそうにこたつから立ち上がる。煎餅、とソウルリンカーからリクエストがあるのに苦笑した。
嬉しさに顔を真っ赤にさせながら、忍者が叫んだ。
「その木はサカキというのでありますよ……!」

そんなわけで、11月も初め頃に、その「神棚」は家に据え付けられた。今ひとつ細部がわからなかったのでアマツ出身の友人にわざわざ家まで来てもらったりしたし、「サカキ」も手に入らなかったのでしおれないバラなんかをさしていたが、忍者は満足だった。


それから、新年を迎えるに当たって神棚も綺麗に清められた。住民みなで無駄に手を合わせてみたりもしたが、神が宿るべき札を神社からもらってくるというところまでは流石に誰も考えが行き届かなかったので、そこに火の神が住んでいるかどうかは不明だ。代わりに、本日ローグが破魔矢を買ってくる予定になっていた。
今日はクルセイダーとプリーストの所属しているギルドの新年会で、そこのメンバーと親しくしているローグも一緒に出かけていた。アマツに行って神籤を引いたりするらしい、とバードが見よう見まねで作った雑煮を食しながら留守番組は話していた。顔を出しているのはバードにソウルリンカー、商人の双子にセージと忍者である。騎士は昨年末から、一度クリスマス前後に顔を出したくらいで後は戻ってこない。
みんなでこたつに入って、忍者は時折神棚を見つめてはへへっと笑っている。あまりぽんぽんと会話が弾むメンツではなかったが、穏やかな新年独特の空気が流れていた。
と、予想よりも早く玄関から話し声が聞こえてくる。もう帰ってきたのか、と六人は顔を見合わせた。
最初に入ってきたのはローグだ。
「ただいまー、外寒かったあ」
外套をきっちり着こんでいったのだが、どうも剥ぎ取られたらしい。こたつに潜り込もうとして、いっぱいであることに気が付いてソファに外套を置いた。その後ろから、どこか心ここにあらずな目をしたクルセイダーが入ってくる。
「ただいま戻りました……」
「ただいまー」
プリーストが、声だけは朗らかに挨拶をする。
クルセイダーは、何故か一つのプレゼントボックスを後生大事に持っていた。
「……あ、これ、お土産というか……言付かりました、お二人に、と」
ぼんやりした口調でクルセイダーが取り出したのは、尻尾にリボンが結ばれたペットフードだ。二人がそっくり同じ角度で彼を見上げると、横手から説明が入った。
「ああ、プリさんがな? どうもプレ箱に入れ間違えたみたいで、お前らのどっちかに食べてもらってほしいってさ」
普段真面目すぎるぐらいの彼が、同じく真面目なクルセイダー宛のプレゼントに入れたのがペットフード。去年のクリスマス会も兼ねた会場は笑いに包まれたのだが、商人宛ということで話がついたのだった。
「そうですか、それでは有り難く頂きます、よろしくお伝え下さい」
「んじゃー半分こするんだよ」
青い髪の弟の方が、豪快に縦半分に裂いた。二人ともためらうことなく口にするあたり、化けエサは食べ物です、と言い張る家に住むだけのことはある。
「ええと、少し、荷物を置いてきます」
クルセイダーの部屋は一階にあるので、そのまま歩いていく。マントから冷たい夜の空気を滲ませたまま、その手に大事そうに箱を抱いて。
彼の背中が消えた途端、プリーストの空気が一変した。チッ、と鋭い舌打ちまで付いている。
「……クリスマスなんて死ねばいいのに」
みんなほとんど雑煮は食べ終わってしまっていた。一人だけ、食べるのが遅いセージがはふはふといつまでも餅と格闘していたが。
バードが目だけで、なにがあったとローグに聞く。ローグはひらりと肩をすくめた。
「プレゼント交換でな……あの人が気まぐれを」
「死ねばいいのに」
ローグの言葉を遮ってプリーストが怒気に満ちた声を出す。弟の前でこの態度を取るわけにはいかなかっただろうから、ずっと我慢していたのだろう。だからといってみなに八つ当たりしていいという話にはならないわけだが。
「っ、大体、クリスマスなんて中止に決まってるでしょ! なんなのあのサンタじーさんだって私にちっとも勝たせてくれなかったくせに!」
全く関係ないことで詰られてサンタジジも気の毒なことだ。なんでも、プリーストは数十回カードゲームを彼に挑んだらしい。ようやく勝ったと思ったらもらったのが花火で、もの凄く印象が悪くなった、というようなことをプリーストは立て板に水どころから滝レベルでまくし立てた。
普段の口調からは考えられないほど口が回っている。
「……あいつは二回で勝ったらしいが」
件のプリーストの弟、クルセイダーはさっくりサンタから勝ちを収めていた。最早プリーストを止めるには彼に来てもらうしかないのだが、彼は彼で自室でぼうっとしているのか出てこない。
「んなもんあのサンタがあの子に見とれてたからに決まってる」
そんなことないだろ、と一同の心は一つになったが、口には出さなかった。
「ああもう……!」
苛々する、とプリーストは頭をぐしゃぐしゃとかき回した。
次に顔を上げた時には、完全に目が据わっていた。
「ナンパしてくる」
「……はい?」
「今夜帰らないから」
ローグの外套を奪って、後ろ姿だけは颯爽とプリーストがリビングから出ていく。嵐のような時間だった、とようやく冷め切った汁だけが残った雑煮の椀を持ってバードが立ち上がる。セージも食べ終わっていたが、あの中で悠長に食事をしていられる彼が一番神経ず太いんじゃないか、とローグは思った。
とりあえず食事が下げられ、食後のデザートに甘栗が持ってこられる頃、クルセイダーは部屋から出てきた。
少々正常まで戻ったらしく、顔の火照りが軽減されている。
入れ替わりに、甘栗を二三個持ったセージが立ち上がる。星の観察のために外に出ていこうとするセージを呼び止めて、忍者が己の襟巻きを巻いてやっていた。
「で? 何が入ってたんだ」
少々詰めてもらって足の先っぽだけこたつに突っ込んだローグが、甘栗に爪を突き立てながらクルセイダーに聞く。ぴき、と言ったのは栗の皮か、クルセイダーの顔面か。
「あ、あ、開けられませんよもったいない……!」
「……開けるもんだろ」
「開けないのならお売りになりますか? 時期を外しているので若干値は下がりますが」
「でもプレミアつくと思うんだよ、顔写真つきだったらどうかな?」
「それはいささかいかがわしい商売法じゃのう」
「う、売りません!」
珍しくもきっぱりとクルセイダーが断った。火照りが戻ってきている。
「なんで開けないんであります?」
上手く皮を剥けない忍者の栗をバードが取り上げて剥き出す。気が付くと、皮が積み重なっているのはバードとローグと商人兄の前ぐらいという有様になっていた。クルセイダーは食べていないだけである。
「ええと……そりゃ、三年は飾っておこうという意図もありますが、その」
「三年……」
バードが呆れたように栗を半かけ口に放り込んだ。
「……何が入っているか、知りたくないんです」
リボンの端に小さく書かれた送り主の名前、それだけで充分だった。それこそがクルセイダーにとって何よりの贈り物であったと言っても過言ではない。だが、だからこそ。
「開けたくないんですよ」
「そっか……参考までに、何が入ってると思う?」
「え? え、えっと、小悪魔の翼とか角とか……」
「おいちょっと待て」
クルセイダーが挙げた品物はプレゼントで挙がるような物ではない。慌ててローグは待ったをかけた。
「なんですかその選択は」
剥いた皮を綺麗に積み重ねながら銀髪の商人が口にする。その横で待っている弟の口に、渋皮まで取り去った栗を放り込んだ。
「倉庫に入りきらなかった時とかに、その辺の箱に入れて……というのがあるかと思ったんですが」
「……ぽじてぃぶじゃかねがてぃぶじゃかわからんな」
いくらなんでもそれはないだろう、とほぼ全員に突っ込まれてクルセイダーはたじろいだ。だからといって、彼が水晶鏡だの額縁だのを用意するだろうか?
困った末に、クルセイダーは話題を変えることにした。
「あ、そうだ、あの、神棚なんですが」
「ん?」
「あそこにプレゼントボックスを飾らせていただくわけにはいかないでしょうか……!」
全員が固まった。
「うん……いや……それは止めとけ……?」
主にプリースト対策的な意味で。
後半だけは心の中で呟いて、ローグは力無い声でクルセイダーの行動を阻止したのだった。

余談だが、その後クルセイダーは自分で材料を購入し、小さな神棚モドキを部屋に付けてもらったらしい。屋根までついているそれは、もういっそ「お地蔵様の社」ではないかと見た者は思ったのだが、中に入っているのが緑の包装紙と赤のリボンで飾られた箱では、一部の人間以外にとって有り難みはあまりない。
それからクルセイダーの部屋にほこり取り用のはたきが常備されるようになったのも、また別の話である。









おかあさん?


昼寝から起きたら隣にじーさんが座っていた。やけにというか無駄に綺麗な緑の目をこちらに向けて、やあと笑う。ちょこんと鼻の上に乗った老眼鏡がきらりと光った。
「おはようの」
「あー、おはよ」
妙なじーさんだ、と思う。だが彼の茶飲み友達であった自分の祖母の方が三割り増し妙であったことは否めない。リンカーの柔らかい服の袖から覗く指先は、心なしか張りを取り戻しているようにも見えるから、あながち祖母が大嘘を吐いた訳でもないかもしれない。
「……なにしてたんだ?」
「ああ、ちょーっとお話をのう」
じーさんはリンカーになってから、目に見えない魂だとかその残滓だとか残留思念だとか、とにかくそういった感じのものとよく話すようになった。苦手ではないが自分には見えないので、どうでもいいと思っている。
「じーさん、目きれいだな」
バードやってても詩人にはなれないと痛感するのはこんな時だ。思ったことを思ったままに言うことしかできず、言葉を装飾する術を俺は持たない。
じーさんは目をしぱしぱさせ、そうかのうと呟いた。
「若い頃はもっときれいじゃったぞ。ばーさんが良く誉めてくれたもんじゃ」
「ほー」
「まあ十年くらいしたら見えなくなりそうじゃがの」
濁って白くなって見えなくなってしまう、と何でもないことのようにじーさんは言った。
「もったいないな」
「そうかのう」
じーさんはまた同じ事を言って、ゆっくりと笑った。口元と目元のしわが多いのはよく笑った人生だったからか、と気が付いた。
「見えなくなるのが先か見る必要がなくなるのが先かはわからんが」
俺は思わず上半身を起こした。じーさんは笑っている。
「そのうち目を閉じてても歩けるようになるかもしれんのう」
それが本気なのか、ごまかしているのか俺にはわからんが、だがきっと後者だと思った。
「タンスや机にも魂の欠片が見えるってのか?」
「物は使っておると魂が宿ると言うでの」
「なるほど」
遠くから、じーさんの名前を大袈裟に呼ぶ声が聞こえてきた。最年少の元気な忍者がこちらに向かって駆けてくる。結局一番じーさんに懐いたのは、この忍者だった。
「呼んでる」
「そうさのう」
どっこらしょ、とじーさんは立ち上がる。
「ああ、今日の夕飯はしちゅーがいいのう」
「白いのと黒いの、どっちだ」
「わしは白いのが好みじゃな」
うちの連中は大体白い方、ホワイトシチュー派だらけである。……うちの、とすっと出てしまう自分がなんだかな。空しいのか泣きたいのか逃げたいのかわからん。
じーさんはタイリギを覚えているくせにゆっくりと歩いていった。ああこんなにいい天気なら洗濯をまとめてやってしまえばよかったな、と思った。









おんがく


夕食後、珍しくこの家に住む全員が揃ってお茶を飲んでいた。物が増えすぎたのでいい加減いくつか処分しようということになり、物置小屋の中身を捨ててそこに取っておくものを放り込んだのだが、それではあまり意味が無いということをバードは黙っておいた。そんなことを言ったら片づけを一人か二人でやらなければならないのは目に見えている。
そもそもこの家で家事をやろうという人間はあまりいない。筆頭がバードで、彼はあまり外出することがなく器用だというのが理由だ。家主であるローグは世界のあちこちでお金を稼いでくるのに忙しく、基本的に自室しか掃除をしない。洗濯は勝手にどこかでやってくるようだが、料理もよっぽど腹が空いているか気が乗った時しかしない。クルセイダーは比較的料理もするし掃除も洗濯も手伝ってくれるのだが、彼は彼で鍛錬のために家を空けていることが多い。プリーストはやればできるのだろうがやるはずがない。ソウルリンカーに至っては流石に老人に差しかかった者をこき使うわけにはいかず、忍者は手伝ってくれるのだがあまり役に立たない。セージは基本こもりっきりで読書をし星を見、騎士は放浪癖のせいであまり家自体に寄りつかない。今日は珍しく彼の愛鳥であるペコペコが庭に繋がれてうとうとと眠っている。商人の双子は割とちゃっかりしているため、自分たちの周りのことしかしない。
やれやれと食器を洗うのを後回しにしたバードは自分の状況を思って首を振る。冒険者になったのはおさんどんをするためではなかったはずなのだが。
「そーいえばピアノ出てきたねー」
知らない人間からはのほほん、としか聞こえない口調でプリーストが切り出した。話を途中で遮られたローグは口を二、三回開閉させていたが、諦めたようだ。
「古いものだったが、なかなかいいもののようじゃのう」
忍者と二人だけ湯飲みで緑茶を飲んでいたソウルリンカーが感想を述べる。流石に専門外とはいえど元職人だけあって、見る目はあるらしい。
「音も狂ってないみたいだったが、あれは売るのか?」
一通りはチェックしたバードがローグに尋ねると、うーんとはっきりしない答えが返ってくる。
「所々傷ついていますから値段ははね上がりはしないでしょうが、まあ一月分の家賃にはなるんじゃないですか」
「僕も大体そんな感じと見たよ。好事家を捜して上手く売り込めばもっとかもだよ」
商人コンビが似たような顔で正反対の調子で言ってくる。忍者はきょろきょろとローグと商人たちの顔を見比べて、こきりと首を傾げた。
「珍しいでありますな、お金になると言われて喜ばないとは」
「……思い出」
ぼそりとセージが忍者の言動に反応する。なるほど、と忍者は一人で納得して手を打った。
「なんか心残りでもあるんすか?」
騎士はほどけかけた三つ編みをひょいひょいと編みながらローグに問うた。クルセイダーは事情を半分ほどはわかっているのか、困ったような顔で様子を見ている。
「あー……この家の前の持ち主が、たまに弾いてたかな、と」
言いづらそうに切り出した言葉に、各々が心の中で頷いた。この家に以前住んでいた老婦人が、ローグの親代わりとも呼べた存在であったことはすでに細々した話から察している。
「売らなくてもいいんじゃないでしょうか、磨いてリビングに置いておくとか……」
「そーいえば私も弾けるしねー」
フォローに入ったクルセイダーよりも、プリーストの言葉にみな驚いて彼を注視した。少しばかりプリーストの眉が寄る。
「何ー? 私が弾けるとそんなに変ー?」
「変というわけじゃないんじゃがの」
「楽器なんて機会がないと触らないだろ」
ソウルリンカーとバードが言い合って、顔を見合わせて頷く。
「まー良家の子女のたしなみってやつー? 見栄とも言うけどねー、弟くんもバイオリンなら弾けるよー」
そういえば良いところの出だったか、と納得した後、彼らは弟、クルセイダーの方に目を向けた。彼はぱたぱたと手を振ってごまかしている。
「いえ、全く大したものではありませんので……兄は上手ですが」
「私はねー」
少しぬるくなってきた紅茶を一息に飲み干し、プリーストは席を立った。ピアノの前まで椅子を持っていき、座る。鍵盤に指を置いた。
「……おお」
忍者が感嘆の声を上げる。プリーストの指は自由自在に動き、テンポの速い曲を事も無げに奏でていた。割と余韻もなく曲が終わると、テーブルについていた者たちから拍手が起こる。
「と、まあ技巧は習えばなんとかなったんだけど、感情が全く入ってなくてねー、よくピアノの先生を困らせたものだよー」
確かに、そう言われてみれば技巧があったのは覚えているが、フレーズなどがあまり思い出せない。印象に残るほど上手いものではなく、一言で言うなら心に響かないというものだろうか。
「楽器ができるってだけで羨ましい……俺なんて口笛ぐらいなのに」
「拙者も草笛ぐらいでありますし!」
「わしはそうじゃのー、びいどろあたり得意じゃったの」
「じいちゃん、それ楽器じゃなくないすか?」
「トランペット触ったことがあるんだよ」
「父親の趣味でサックスをかじったことがありますね」
「木琴」
「セレスさんは?」
「俺はビオラ?だっけか」
「渋いな……俺はリュート専門だから他の楽器はちょっとな」
「音楽会とかできそーだねー」
「バラバラすぎる気がするのは俺だけか?」

その日は一通り音楽の話をして終わったが、ピアノは少し邪魔なオブジェとしてリビングを飾り、こっそり楽器を練習するローグと忍者とソウルリンカーの姿が見られるようになったという。
しかしそのチョイスが、何故ハーモニカと横笛とオカリナだったのかは、本人たちしか知らない。










羽毛帽子こぼれ話


その日、一人の商人が露店街を歩いていた。あまりカートを引くのが得意でない彼は、カートがあると人混みの中で歩きづらいのでカートは家に置いてきてある。手には、神経質な字で何やら書かれた帳面を持っていた。ぱらりとめくると、倉庫の中身一覧と書かれたページが出、横に数量も細かく記入されている。さらに数ページ先には最近の売れ筋商品と相場の移り変わりが事細かに記帳されている。
こうして同業達が出している露店街を巡り、商品の相場を把握しておくのが商人の日課だった。市場マーケティングを調査員を用いて行い、それを発表している商売もあるが、どうしても自分で確認しないと不安であった。同じ家に住んでいる十人の中で、彼と彼の片割れだけが商売担当だった。片割れは生鮮市場の方が担当で、今日も食料を買い込みに行っている。露店を出してじっとしているのが性に合わないということで、片割れの方は露店を出せない。必然、彼が露店の担当になるわけだ。今回は自分で露店を出すわけでもないが。
先日結構な収入があったので、財布には余裕がある。各々がパーティを組んで稼いできた金などはともかく、収集品を持ち込んだ収入はほとんどまとめて商人たちが管理をしている。その中から割合に応じて家賃を捻り出し、食費光熱費その他諸々を賄っているのだ。本来なら家主の仕事であるように思えるが、金勘定は本職の方がいいだろうとしばらく前に任された。
商人は購入目的があって露店街を歩いていたわけではなかった。今は良いとして、いずれは必要になるだろう高級装備などに向けて貯金をしている最中だったからだ。いくら生活に必要であるとはいえ、いつまでも中級装備では具合が悪かろう。
その紫の目に、ふと止まった品物があった。
そういえばこれに関連する物を誰かが欲しがっていた、とすぐ思いつく。すぐに欲しいという口調ではなかったが、それでもその端々に憧れを覗かせていた。特に今すぐ必要という物ではないし、狩りに必要というわけでもない。ついでにこういうものを衝動買いするのは商人の性格にも合わない。
デメリットはいくらでも並べられ、だがそれでも尚足が動かない。そういうことかと諦めて、商人はもう一度その商品の値札を見た。悪くない値段だ。最近は見かけなかったため帳面にメモはないが、昔はもっともっと高かった代物だった。値札を手に取った商人を見て、露店主のアルケミストがにこりと笑う。
「いらっしゃいー、贈り物?」
「いいえ、特に必要な物でもありませんが」
口から出たのは本音だった。あらそう?と、アルケミストは出鼻をくじかれた顔をしている。
「ちょっとなら割引できるんだけどなぁ」
気を取り直して、アルケミストは花が満載のカートに寄りかかる。随分売れ残っていたのだろうか、値札の端は折れて少し弱くなっている。
「率によりますね」
「ううーん、一割っ」
「そうですか、ではまたの機会に」
「待ってよぅ、欲しいんでしょ? うちが間違いなく一番安いわよ」
「転売がしたいわけでも、割に合わない値段でまで欲しいものでもありませんので」
「んんん……二割」
「そこまで売りたいので? 損な性格をなさっておりますね」
「別にぃ、別れた男からのプレゼントだからってわけじゃないんだから」
「正直なお方でいらっしゃる」
商売人に向いていませんね、とは心の中だけで呟き、商人はその薄い唇を上げる。
「こちらと一緒に購入して、三割引。いかがですか?」
「三割ぃ? 厳しいなあ」
「こちらも売れていないのでしょう、長らく思い出や在庫を抱えることもないと思いますよ」
「……ちぇー、お兄さんかっこいいから負けてあげるわ!」
「それはそれは、痛み入ります」
商人は慇懃にお辞儀をして見せた。財布から手早く紙幣を取り出して、さっと支払う。少し唇を尖らせたアルケミストが、商品を寄こす。露店は本職ではなかったらしく、売れたらさっさと店をたたんでしまった。軽く会釈をして、商人は歩き出す。重みはほとんどないが、少々かさばったのでカートを持ってくれば良かったかと少し後悔した。手には、白い帽子が握られていた。


「ってなわけでー、羽毛300個よろしくー」
「何がどうしてそうなったのか説明してくれ」
自室でくつろいでいたローグは、見慣れぬ帽子片手に部屋に入ってきたプリーストにそう反論した。
「んー? フロストくんがオールドスターロマンスの出物見つけて買ってきてくれたからねー、羽毛帽子にしてノインくんにプレゼントしよーって話ー。わかった?」
「……最初からそれを言ってくれれば良かったものを。で、なんでプレゼント? あいつの誕生日って確か秋口じゃなかったか?」
「私誕生日なんて知らなーい」
「おいおい……」
ローグは寝直すのを諦めて肩をすくめた。件のバードの誕生日の日付まではローグとて覚えていない。きっとクルセイダーなら覚えていることだろうが。
「別にいいじゃないー、たまには理由もなくたってさー。いつも家事やらせてる感謝の気持ちとかないわけー?」
「それは大いにあるが……何で俺だけ羽毛集め?」
「だってみんなはお金ちょっとずつ出し合った形になるしー、君が一番そういうことに向いてるしー、なによりそんな面倒なことやりたくないしー」
「おい本音出てるぞ」
「まーいいから、よろしくー」
ぽふりと白い帽子――オールドスターロマンスをローグの頭にかぶせ、その手にそっと硬貨を握らせる。なんだと思ってローグが確認すると、500zあった。
「ついでにアルデバランで作ってきてねー」
「交通費の方が高くつきそうな件について一言」
「ポタ消したから。」
んじゃねーと脳天気にひらひらと手を振って去っていくプリーストを見送って、がしがしと頭をかいたローグは立ち上がって放置していた上着を手に取ったのだった。










Are You Lady?


自室から出てきたクルセイダーは、リビングに座っている人物を見てぱちくりと瞬きをした。その『女性』はひらりと彼に向かって手を振る。
「ああ、お帰りです」
そのまま特にコメントもなく、台所の方へと歩いていく。普段の鎧を身につけていない青いインナーに覆われた背中は、幾分か小さく見えた。青い肌着に青いズボン、その二つよりいささか薄めの青い髪。彼のイメージにはいつも青と白がつきまとう。鎧が白っぽい銀色だからだ。残された方は拍子抜けした顔で頬杖を付いた。薄青の髪を二房に分けて緩やかな三つ編みにした、その間の顔は化粧をされているがその頬を包む手はいささかごつい。
「今回は戻ってくるのが早かったですね。どうしました?」
戻ってきたクルセイダーは、手の茶器をテーブルに置いて見慣れないはずの珍客の向かいに腰掛けた。そのまま持ってきた紅茶を相手の前にも差し出し、自分のカップに砂糖を放り込む。
「いや……それ以前に何か言うことはないのか?」
発せられた声は間違いなく男のそれだった。普段は騎士をやっている彼は、今や冒険者にすら見えない女物の服を着ていた。さっぱりしているようで巧に体格を隠すワンピース、その足下は膝下まである編み上げのブーツだ。普段は後ろで一本に編んであるだけのおさげには、控えめなリボンまで結んである。
音も立てずにティースプーンを置いて、クルセイダーはしばし彼を見つめた。
「ああ……良く似合ってらっしゃいますよ」
「ちがう」
騎士としては誉められたかったわけではない。女装癖もない。断じてない。ただ単に、この格好で同居人たちを少しばかり驚かせようと思っただけだったのだ。だが、あっさり見破られた上質問もされなかったことには面食らった。手元のカップに添えられたミルクを垂らす。もやがかかったように紅茶が白く曇った。
「もういいよ、うん」
「はあ」
どう答えればいいのかわからなかったのか、クルセイダーは首を傾げた。軽くカップの取っ手を握る仕草は騎士よりよっぽど洗練されている。
「人助けなんだ」
一応説明はしておこうと思い、騎士は口を開いた。紅茶を口に含みすぎて飲み込んでから熱い、と舌を出すのは女性の格好でやるのはどうかと思われたが、不幸にもこの場にそれを気にする人間はいなかった。
「知り合いの女の子がストーカーにあってな、彼女は男より女の子の方が好きでかわいい彼女もいるんだが、その彼女と付き合ってるとわかれば相手のストーカーが何を言うかわからん。だから存在しない女の子を恋人として紹介したいらしいんだよ」
「なるほど、人助けですね」
良いことです、と片手にカップを持ったままでクルセイダーはにっこりと笑った。女装の理由にはなっているがその姿でここにいるのは何故だという質問は一切してこない。そもそも女装について異を唱えるコメントが一言もない。
要するに、と茶菓子もなく紅茶を飲む男を騎士は見つめた。要するに、彼にとっては装束などどうでもいいのだ。冒険者になると衣装に惹かれる輩は多いのだが(この家の家主は特にそれが顕著だ)彼にはそういうものに興味はないらしい。別の職の制服なら転職したのかぐらいは聞いてくるかもしれないが、全くの市井の服ではそうはならなかったのだろう。
最近、前にも増しておかしくなってきたクルセイダーと向かい合って紅茶を啜りながら、騎士はそう思った。
「WAWAWA忘れ物〜……うおわっ!?」
そこに、妙な鼻歌を歌いながら入ってきたのは家主のローグだった。女性姿の騎士と、それに関せず紅茶を飲むクルセイダーを見て、立ち止まってのけぞる。
「って、え!? お前何してるんだ、ついに女装好きが顕現したか!?」
そう、これが普通の反応である、と安心して、騎士は深く頷いた。それから少しばかり慌てて、ローグのその言葉を訂正にかかる。
クルセイダーは、楽しそうにそのやりとりを見ていた。










ふわり、ぞろり。


ハロウィン週間になってから、町はどことなく浮ついている。パンプキンハットをかぶった人が凄く多い。そうなってからというもの、ソウルリンカーは狩りにも行かず一人中庭で座っていることが増えた。バードは青い顔色で、昼寝の場所を家の中に移した。寒くなってきたから、というのが言い訳であるのは一部除き承知の上だ。ローグは気にしない。我関せずで、たまに妙なところでバックステップをして何かを避けている。プリーストはどこか不機嫌そうに、時々ブレッシングとターンアンデッドを振りまいている。効果はないようだ。騎士はたまに寒気がする程度、忍者はよくわからないなりにソウルリンカーのお茶に付き合い、セージは本しか見ていない。
そして。
「ここ、大丈夫ですか?」
庭に置かれたベンチ代わりの丸太を指して、クルセイダーはソウルリンカーに尋ねた。緑の服の老人は頷いて、宙を手で払う仕草をした。
「あ、誰かいらっしゃるなら反対側でも、」
「いやいいんじゃよ、ちと道を空けてもらっただけでのう」
見えないものがいるのかと、クルセイダーは関心しきりだった。ソウルリンカーは、目に見えないものと話したりコミュニケーションを取ることができるのだが、ハロウィン期間は普段の比ではないという。元々、死人が戻ってくるからさらわれないように仮装をする祭りらしい。詳しいことは市民も知らないが、とにかく祭りとなればアマツにもルティエにも行き、プロンテラでは一大商戦が繰り広げられる国民性だ。ハロウィンだろうとクリスマスだろうと正月だろうとなんでもいいらしい。
時折頷いたり、一言二言話しかけるソウルリンカーを、クルセイダーは見つめていた。クルセイダーに、そういったものを感知する感覚は全くない。声も聞こえない姿も見えない、寒気もしないし気分も悪くならない。
「聞こえるというのは、どんな気分なんですか?」
聞き役に回っているらしいソウルリンカーが一息吐いてお茶に手を出したところで、クルセイダーはそう尋ねてみた。
「そうさのう、世界がもう一幕増えとる感じじゃな」
「なるほど……」
「まあわしんとこに来るのはのんきな子が多いでのー、辛くはないが……大変な子は大変じゃろうの」
シワの寄った手で湯飲みを大事そうに包む。
なんとなく相談内容を見抜かれた気がして、クルセイダーは赤面した。
「魔物ではありゃせんがの」
実体を得ているのが魔物だ。ならば死霊たちは人間にとってなんなのか、クルセイダーにはわからない。
「祭りが終わればしばらくは沈静化するじゃろうて」
「そうですか?」
「まあそうじゃろ」
活性化と沈静化はせっとじゃよ、と達観した口調でほほ、と笑う。惹かれるのか、クルセイダーの周りに浮かれた半透明の元生物が集まっていくのは教えないままで、ソウルリンカーは持ってきたクッキーをかじった。


※リンカーは見える話せる触れる好かれる・ローグは見えるけど聞こえない・バードは見えないけど聞こえる好かれる・プリは見えるけど無視する嫌われる・騎士は見えないけど感じる。
クルセにいわゆる霊感は全くなく、見えない感じない寄せ付けない。霊媒の人が傍にいるとバリアが取れるのかわらわら集まってくる。でもわからない。しかしクエスト的に冒険者は全員霊感あるんじゃなかろうか。